2025/06/26
今回は、上顎前突(出っ歯)の症例をご紹介します。横から見ると、前歯が前方に突出し、歯並びの乱れが確認できます。

下の正面写真では「それほど歯並びの乱れが目立たない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
▼治療経過
まず、前方に出ている歯を後方へ移動させるスペースを確保する目的で、上顎左右の第4小臼歯(4番)を計2本抜歯しました。

その後、まず上顎のみにマルチブラケット装置を装着し、前歯の移動を開始しました。上顎の移動がある程度進んだ段階で、適切なタイミングで下顎にも装置を装着しました。

▼前歯を後方に移動させる処置を実施
歯並びが整ったあと、抜歯後のスペースを利用して、前歯をさらに後方へ歯を下げていきます。この処置をしないと「口元が前方に出ている状態(いわゆる“口ゴボ”」と言われる状態になってしまうためです。また、上下の噛み合わせをしっかりと整えるため、補助装置として顎間ゴムを使用しました。写真の赤い矢印をご覧いただくと、噛み合わせの変化をご確認いただけます。

<口元の変化>

症例詳細
■主な矯正装置
マルチブラケットシステム
補助装置あり
・顎間ゴム
・IPR(InterProximal(隣接歯間の) Reduction(削合))のこと
歯の移動のため、0.1mm単位で少しずつ歯を削り調整しました。
最終段階では、患者様の口元のバランスや歯の形を総合的に考慮し、自然で美しく見える歯の形へ整えました。
■治療期間
約2年
■費用
約750,000円
別途、処置料がかかります。
■抜歯
上顎左右4番:2本抜歯
■考えられるリスク等
・最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2週間で慣れることが多いです。
・歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
・装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
・治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりする事が重要です。また、歯が動くと隠れていた虫歯が見えるようになることもあります。
・歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
・ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
・ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
・治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
・治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
・様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
・歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
・矯正装置を誤飲する可能性があります。
・装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
・装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
・装置が外れた後、現在の噛み合わせにあった状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
・あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
・治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる事があります。
・矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻す事は難しくなります。
症例ブログを今後も掲載していきます。矯正無料相談はLINEまたはお電話にて承ります。

